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創作小説 「サービス」

 高層マンションの傍にタクシー車両を止めると、客らしき老人が荷物を引きずって来た。
 この立派な住まいと身なり、なかなか裕福なご老人のようだ。運転手は車体横のドアを開け、すぐさま声をかける。
「市立病院まで、ご予約のお客様ですね?」
「ああ」
 横柄な態度の老人に対しても、笑顔を心がける運転手。
「荷物をお預かりします。先に中へどうぞ」
 重そうな荷物を持とうとすれば、それより、と老人が杖を鳴らした。
「杖をつき、荷物を持っている姿が見えなかったのかね?君のところはサービスの良い会社だと聞いておったが、入り口まで迎えにも来てくれんのか」
 しまった、と運転手は反省した。お客様の期待を上回るよう行動すべし。これが常日頃から唱和されている社訓である。
「大変失礼致しました」
 運転手が謝ると、老人はようやく機嫌を直した。
「いや、これから毎週通院になる。また君を呼ぶから、次はきっと宜しく頼む」

 一週間が経ち、今度こそ、と運転手はマンション入り口のすぐ近くに車を止めた。さらに自分も降りて、老人の荷物を素早く受け取る。サービスが良い、と老人は満足げだったのだが、それも長くは続かなかった。
「君は、私がいつもエレベーターで降りてきていることを知らんのかね?」
 ある日、唐突に尋ねられた運転手は、存じております、と頷く。
「荷物を持ったままボタンを押すのが、どれほど大変か想像もできんのか」
 成程確かに、と運転手は頭を下げた。次は頼む、と老人に言われた通り、翌週はエレベーターで十七階まで上がっておく。荷物を預かり、ボタンを押し、入り口前の車内へ通すと、老人はまた満足げになった。
 しかし、これも束の間の話。
「玄関からエレベーターまで、私が荷物を抱えて歩いていると気づかんのかね?」
 老人の言葉に打たれ、運転手はいよいよ荷造りから手伝わねばならなくなると悟ったのである。

 さて、どうしたものか。真面目な性分の運転手は悩んだ。
 社訓に背くようなことはできない。かといって、ただ一人の客のお世話係にもなれない。
 考え抜いた末に、運転手は会社を辞めてしまった。真っ黒だった髪を金色に染め、毎日着ていたスーツは悪趣味なTシャツに早変わり。自分の車にまで、派手なペイントを施す始末である。
 元同僚は口を揃えて、精神的に参ってしまったのだと噂した。彼があんなに追い詰められるとは、相当厄介な客だったのだろう。さあ、誰が送迎の仕事を引き継ごうか。
 当然、名乗りでる者はいない。仕方なく別のタクシー会社へ委託という形に収まったが、結局他へたらい回しとなり、いつしかその老人を乗せるタクシーは無くなった。

 困り果てた老人は、個人タクシーでも構わない、と最も評判の悪そうな、閑古鳥の鳴いていそうなタクシーを探し始めた。マンションの住民達に拠れば、ちょうど近頃見かけるようになったばかりの三流タクシーがあると言う。
「いかにも頭が足らない風の運転手ですよ」
「乗るのも恥ずかしいわ、あんなタクシー」
 住民達は引き止めたが、老人は耳を貸さない。ともかく、病院へ行ける手段さえ確保できれば良いのだ。
 とはいえ、内心どれほど酷いタクシーかと老人は不安を感じていた。予約してはみたものの、時間通り迎えに来てくれるかどうか。
 荷物を引きずり、重い心持ちで老人は階下へ降りた。幸いタクシーらしき車は止まっていたが、悪戯描きのような絵が四方に描かれている。運転手も金髪で、そのうえTシャツ姿だ。
 警戒態勢の老人に向かって、運転手は口を開く。
「市立病院まで、ご予約のお客様ですね?」
「ああ」
 意外にも丁寧な話し方に、老人は思わず瞬いた。気のせいか、覚えのある声だ。
「荷物をお預かりします。先に中へどうぞ」
 勧められるがまま乗り込む老人。ふと漏れた感想を、運転手は笑顔で聞いていた。
「おや、なかなかサービスが良いな」
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テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

創作小説 改稿「冒険譚」

 むかしむかし、ある大きな国のはずれの小さな村に、旅人がやって来ました。旅人は子どもたちを集めて、秘密の話をしてくれました。
「この国のどこかにね、宝物が隠されているんだよ。探し出してみたいとは思わないかい?」
 山や海を越え、宝物という夢を追いかける冒険の旅。
 瞳を輝かせ名乗りをあげたのは、一番年下の赤毛の少年でした。
「きっと、ぼくが見つけるよ!約束だ」
 少年は旅人と指切りをして、数日後、本当に旅立ったのです。

 途中立ち寄った町で、少年は金髪の少女と出会いました。
 少女はお金持ちの娘でしたが、助けてほしいの、と打ち明けました。
「裕福な家は、役所にたくさんお金を納めなくちゃいけないんだって」
 かわいそうに、少女は欲しい洋服を我慢して泣いています。少年は、少女と困っているお金持ちたちのために、役所を潰しに行きました。
「人からお金を奪うような悪い奴らは、ぼくが倒すんだ!」
 そう言って、少年はあっという間に役人たちを叩きのめしてしまいました。
 もちろん少女とお金持ちたちは大喜び。
「勇者にふさわしい剣や盾をあげよう」
 少年には立派な道具と、新たな仲間として少女が加わりました。

 このようにして、少年は困っている人を助け、仲間を増やしていきました。
 ある時は心優しげな囚人たちを解放し、ある時は嫌々学校に通わされている子どもたちを全員仲間にしてあげました。救われた人たちは皆、ありがとうと感謝してくれます。
 しかし、少年は威張ることもせず、自由に旅を続けました。
 宝物の在り処の情報を集め、数年後、ついにその場所に辿り着いたのです。

 その場所とは、国中の役所をまとめている官邸の地下室でした。
 少年率いる一行は正々堂々乗り込んで、首相に剣を向けます。
「悪者たちめ、隠している宝物を貰うぞ!」
 少年に勇者の剣を突きつけられても、首相は落ち着いていました。
「貴様らが秩序を乱していると噂の子どもたちか。今ならまだ取り返しがつく。反省して家へ帰りなさい」
 地下室の鍵を渡そうとしない首相に、少年は声を張り上げ剣を振りかぶります。
「反省するのは、お前たちの方だ!」
 最後の敵を倒した少年たちは、地下室へ降りて行きました。

 地下室には、まばゆいばかりの金銀財宝。
「約束を守ってくれたんだね」
 どこからともなく、いつかの旅人が現れて少年たちを褒め称えます。少年は満面の笑みを浮かべて、旅人の手に地下室の鍵を置きました。
「あなたのおかげで、ぼくは楽しい冒険ができた。かけがえのない仲間を手にすることができたんだ。だから、もう宝物なんていらないよ」
 旅人は全てを理解しているように、うなずいて鍵をポケットにしまいました。
 皆で地上へ戻ると、燦々と朝日が輝いています。少年は清々しい気持ちで、次の冒険に夢を馳せ始めましたとさ。おしまい。

 広場で旅人が語り終えると、聴衆は一斉に拍手を送りました。
 思う存分贅沢に暮らせるようになった、金髪の少女と町のお金持ちたちがいます。
 一足早くまた好き放題できるようになった、囚人たちがいます。
 学もないのに勇者の仲間として権力を手にした、勉強嫌いの子どもたちがいます。
 役所から配給される食べ物をあてにしていた貧しい人々は道の端で飢え、囚人の闊歩する姿に町民は怯えて引きこもり、肝心の政治は止まったまま。国の危機に備え宝物が蓄えてあった地下室も、今ではすっかり空っぽです。
「ああ、なんて愉快な物語!」
 少年を駆り立て、まんまと大金を掴んだ旅人は、甲高く笑っていました。

テーマ : ショートショート
ジャンル : 小説・文学

創作小説 「鈍感」

 派手に皿の割れる音がして、男はソファから腰を上げた。キッチンであたふたしているのは、同棲中の彼女。正確には男の方が居候の身であるが、今更気にすることでもない。
 男の姿を見るやいなや、ごめんなさい、ごめんなさい、と彼女は謝り始めた。そういう問題じゃないんだよ。大きくため息をつき、男は彼女の肩にそっと手を置く。
 そのまま思い切り突き飛ばすと、彼女はフローリングの床に尻餅をついた。いつも通りの、驚いた顔。男は優しい微笑を繕って、彼女を見下ろしながら言う。
「あたふた動いたら危ないって。もう少しで破片を踏むところだったよ」
 男の瞳に輝く嗜虐的な光をよそに、彼女は安堵の表情を浮かべた。
「そうだったんだ。ありがとう」

 鈍感な女。それとも、真性のマゾヒストなのか。丁寧に破片を拾っていく彼女を残し、男は再びソファに戻った。テレビに映っているのは、一時停止状態のゲーム画面。コンティニューの文字が規則正しく点滅を繰り返す。
 男にとって九人目にあたる彼女は、大手企業の事務員だった。才色兼備、清楚で慎ましく、家庭的でもある。そんな彼女に恋人がいなかった理由はただ一つ、彼女がひどく鈍感であるからだった。例えばあざを作ったとして、どこでぶつけたんだろう、なんて始末のレベル。熱烈なアプローチも、彼女にかかれば優しい人で済まされてしまう。何としてでも手に入れたかったこの男は、一方的に付き合いを迫り、果ては家にまで上がり込んだ。
 なんだか君は心配だから、俺が守りたいんだ。男の言葉を彼女はあっさり信じた。交友関係の制限、携帯のチェック、そして偶然を装った暴力……。男の本心につくづく鈍感な彼女は、自分のためと喜んで従う。男の目から見ても少々やつれたようであったが、本人は気づいていない様子だった。
 床に這いつくばって、ゴミを拾い集める彼女。思い出すだけで口元が緩む光景を、男はもう一度見たくなった。

 傍に置いていたマグカップを持って、キッチンへ顔を覗かせる。掃除を終えた彼女は、トントンと玉ねぎを切っていた。五感も鈍いらしく、涙目にさえなっていない。
 空中でマグカップから手を離す男。騒音をたてて、粉々に砕け散る。イニシャルの入った破片が一つ、彼女の足元へ飛んでいった。
「お揃いのカップ、そろそろ新しいのに変えない?」
 目を丸くして固まった彼女は、なんで、と小さく尋ねる。
「なかなか物が捨てられないって言ってたから。こうすれば、未練なく買い換えられるよね」
 ぐっと彼女の襟首を掴み、柔らかく笑う男。
「それもそうだね」
 抑えきれない何かを感じながら、彼女は頷いた。

 テレビ画面で点滅し続けるコンティニューの文字を見つめながら、彼女は夕飯を口へ運ぶ。穏やかな気持ちで摂る食事は久しぶりだった。
 最後の一口を堪能し、食器をキッチンへ持って行く。真っ赤な床に、ずっと伏している男。ひょいとそれを踏み越えたところで、彼女はようやく気がついた。
 どうやら自分はこの男を、殺したくなるほど憎んでいたようだ。

テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

創作小説 改稿「記憶にない海」

 ベージュの砂浜と瑠璃色の海、そして淡い水色の空が、まるでどこかの国旗のように三色水平に並んでいる。ただそれだけが続く広漠とした世界には、昼夜の区別さえ無く、天国とも楽園とも名付けられる様であった。
 真っ白な服に身を包んだ幼子は、そこで黙って膝を抱え、水平線を眺めている。つま先を浜辺に寄せる波が濡らしても、幼子は視線を逸らさない。じっと海の向こうに目を凝らすのだ。
 そうしていると、微かに誰かの声が聞こえてくるようになった。
「お前なんて、産まなければ良かった」
 煙草と酒と化粧のニオイがしそうな女の言葉に、海水は冷たくなって空は曇る。足が凍りつきそうな程の寒さに震えながら、幼子は耐え忍んでいた。

 海は日に日に凪いでいく。
 曇天の下、暗く深い蒼色の海。幼子は両手を擦り合わせては息を吐き、泣きそうな顔で水平線を見つめ続ける。 真冬並みの空気を裂いて、声は四方八方から、色々な鋭さで降り注いできた。
「学校来るなよ。周りまで汚れる」
「君、未成年だろう?こんな夜遅くに出歩いてないで、帰りなさい」
「雇って下さいって、アンタ仕事できるの?」
 氷の浮かんだ海は、時折思い出したように荒れる。白波はぶつかり合って渦を巻き、幼子は強い風に幾度も押し倒された。雨は叫び声をあげ、砂浜を引っ掻いて行く。
 幼子には祈ることしかできなかった。どうか、どうか生き抜いて。その時を迎えられるなら、何年だって待っているから。

 今日も空は黒い。というよりは、色が無いようだ。セピア色に褪せた写真の如く、固まったままの景色を前にして、それでも幼子は水平線を眺めていた。
 海の向こうはどうなっているのだろう。声に耳を傾けている限りでは、とても辛く残酷で、息苦しい世界らしい。しかし、幼子は光が差し込むことを信じていた。

 変わらないその気持ちに応えるように、ある日、にわかに風が吹き始める。
 幼子は異変に気づいて、足元を凝視した。ザァッと波が引き、おそるおそる返ってくる。その動きに合わせて、長い間空を塞いでいた暗雲が退いて行く。再び風が吹くと、いよいよ海はかつての躍動感を取り戻す。
 温かな春一番の訪れと共に、待ち望んでいた言葉は届いた。
「あなたが好きだ。愛してる」
 途端、花のつぼみが綻ぶように、辺りは色づく。
 幼子は、その時が来た予感に喜び勇んで立ち上がった。昼も夜も無いはずの世界、その水平線に見えるはずのない朝日が顔を出す。滲んだ橙色を背景にして、一艘の白い小舟が幼子を迎えに漂ってきた。

 港町の病院の一室に、男が慌てて駆け込んでいく。
 ぐったりと横になっていた女は、その取り乱した様子に少し口元を緩めた。間もなく、助産婦が綺麗に洗われた赤ん坊を女の腕に抱かせる。
 そっと赤ん坊に頬をすり寄せた女は、一滴、二滴と涙を零した。これまでの生き地獄だった人生が瞼の裏を巡る。男もつられて瞳を潤ませていると、助産婦が微笑み、赤ん坊に話しかけた。
「やっとお母さんに会えたね」

テーマ : オリジナル小説
ジャンル : 小説・文学

創作小説 「季節感」

 色とりどりの絵の具が飛び散ったアトリエで、画家は腕組みをしていた。彼の前には三枚の絵。どれも“夏を感じさせる絵”が課題のコンクールに向けて描いた、渾身の作である。

 左端の絵は青色がベースだ。透き通った海が、空とほとんど同化して水平線で溶け合っている。穏やかに砂浜へ寄せる波。ソフトクリームのような入道雲。キラキラ輝く真夏の日差しを乗せた風が、麦わら帽子を吹き飛ばしている。
 一見完璧な盛夏の風景である。しかし、画家はため息をついて横に首を振った。駄目だ、この作品からは息吹を感じない。肌を焦がす浜辺の熱が伝わってこないのだ。

 画家は真ん中の絵に視線を移した。日本家屋の縁側に、あぐらをかいている男の子。ラジオ体操のカードを首から提げ、扇風機に顔を近づけて、あ~、とでも発声しているかのように口を大きく開けている。傍には西瓜と、グラスいっぱいの麦茶。薄紫の彩りを添えているのは、簾の向こうに覗く朝顔の花だ。
 画家はしばらくその作品を眺めて、またも顔をしかめた。これも違う、夏らしい開放感というか、広がりが足りていない。次だ。

 転じて、右端の絵は夜である。立ち並ぶ屋台と微笑む浴衣姿の女性が、場面は夏祭りであることを表している。吊られた提灯はほのかに光り、林檎飴やかき氷を照らし出す。四角形の水槽で泳ぐ安っぽい金魚。漆黒の夜空には、花火が堂々と打ち上げられている。
 最後の一枚をじっと見つめていた画家は、遂に発狂して筆を壁に叩きつけた。全く話にならない。こんな賑わいの無さそうな夏祭りがあってたまるか。

 カラカラと音をたてて、筆が転がる。画家は頭を抱えて叫んだ。
「何故だ、どうして夏らしい絵が描けないんだ!」
 その問いに答える者はいない。ただ、低くクーラーのファンがうなっているだけだ。
 寒い程によく冷えたアトリエは、鉄筋コンクリート製のマンションの一室である。広さは四畳半。画家は独り身で、当然賑やかな人の声など飛び交っているはずもない。
 また数日はここに引きこもって、納得がいくまで絵を描き直そう。そう決心した画家のアトリエの外では、今日も蝉達がやかましく鳴いている。

テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

創作小説 「忠犬」

「よく付いてきたな」
 鬱蒼とした林の中、大尉は地面に腰を下ろすと、小声で話しかけその犬の頭を撫でた。犬は満足げに瞳を細めたが、尻尾をばたつかせたり鳴いたりはしない。音をたててはならない状況だと理解しているらしい。
 まるで仲間達の血を吸い上げたように、夕空は赤く染まっていた。たなびく雲の下には敵軍の戦闘ヘリ。ぐるぐると旋回して、生き残りまで徹底的に始末する気なのだろう。
 満身創痍の大尉と同じく、犬の顔つきは終わりを悟っていた。本当に賢い奴だ、と大尉は改めて感心する。
「国に忠誠を誓った犬、と評されただけあるよ」
 再び褒めてやると、犬は嬉しそうに尻尾を持ち上げかけて自制した。その可愛らしく動物らしい仕草から、誰が普段の仕事ぶりを想像できようか。地雷を嗅ぎ分け、スパイを摘発し、果敢に敵兵に唸り声をあげ続けた犬。人間の戦争などに巻き込まれながら、立派に任務をこなしてきたこの犬を、大尉は最早同僚のように思っていた。
「いいか、俺はここまでだ」
 真剣に語りかける大尉の言葉を、犬は黙って聞く。
「お前はどこへでも逃げたらいい。その足の速さなら、万が一にも捕まることはないだろう」
 バサバサと、視界の先の木々から鳥達が一斉に飛び立った。敵軍の歩兵が迫っているようだ。
「俺も犬死はするまい……いや、お前にこの言葉は無礼か」
 大尉が軽く笑ったところで、敵兵が現れた。異国の言葉で指揮をとっていた隊長らしき人物が、素早くこちらに銃口を向ける。大尉は犬を野犬のように追い払って、懐から手榴弾を取り出し安全装置に手をかけた。
「祖国万歳!」
 教わってきた忠犬としての最期。張りつめていた空気が震える。
 まさに自爆しようとしたその時、飛び出してきたのはあの犬だった。大尉に突進し、休む間もなく敵兵に襲い掛かる。敵兵に撃ち抜かれてもなお歯向かおうとする姿に、大尉は見入ってしまって、胸を銃弾が貫いたのにも気づかなかった。

 最期まで逃げず国のために戦った、お前は国民の鑑だよ、と大尉は微笑んで眠りについた。
 彼は知らないのだ。犬は国家の忠犬ではなく、ただ大尉を慕う犬であったこと。

テーマ : ショート・ストーリー
ジャンル : 小説・文学

管理人のばにらです

はじめまして!
管理人のばにらと申します。
この度は当ブログにお越しくださり、ありがとうございます*

初心者なので至らないところも多々あるかとは思いますが、
温かい目でお読みいただけたら幸いです。

まず最初に、当ブログの趣旨と管理人について
簡単に書かせていただきます。(以下、随時追記編集)

基本は好きなことを書きたいように書いております(^_^;)

メインは、絵本などの本紹介と銀魂感想でしたが
アニメ銀魂の終了をうけ、以前から少し行っていた小説投稿中心のブログに切り替えました。
そのため、まだまだ作品は少ないです…。

定期更新はストップ中です。
不定期でのんびりと記事をあげていきますので、
読者様にも気が向いた時に覗いて頂けたらと思います。

それでは、宜しくお願い致します!
プロフィール

ばにら

Author:ばにら
マイペースな20代女。
猫とヒヨコが好きです。

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